小学生がキャッチボールでチームプレーとコミュニケーションを学ぶ
少年野球をがんばる家族を応援しようと、取り組みを進めているSSKでは、日本プロ野球選手会が振興しているキャッチボールクラシックを応援しています。この春から、投力のアップやコミュニケーション学習の一環として、野球に馴染みのない小学生にもキャッチボールを体験してもらおうと、東京都八王子市の小学校の授業で取り組みを始めています。
野球をする環境がない子どもたち
体育の授業でキャッチボールを行ったのは、東京都八王子市のみなみ野君田小学校の6年生と東浅川小学校の3-4年生。合わせて300名ほどの小学生が参加しました。講師として登壇したのは、ヤクルトスワローズで2度の優勝経験のあるギャオス内藤こと内藤尚行氏と、ホークス一筋15年の本間満氏のふたり。内藤氏が大きな声で子どもたちの度肝を抜くと、そのままボール遊びが始まりました。
東京都八王子市は市政100周年を迎える歴史ある地域で、人口は57万人余り。市内の500を数える公園では、野球ができる場所がなく、野球で遊ぶ子どもが少なくなっています。スポーツ庁による小学生の運動能力の全国調査では、東京都は投力で最低レベルにあり、八王子市は東京の中でも投力の低い地域となってしまっています。
今回、2つの小学校で4回の授業を行いましたが、野球をしている少年少女は、最大80人程度の中、多くて4名と少数派。「バスケットやテニスをしている子どもたちは、ボールへの慣れもあり、キャッチもまだできていましたが、難しかったですね」と、みなみ野君田小学校の佐藤志穂子先生は教えてくれました。
今回、そうした背景を考えて、ポイントを絞った指導になりました。ボールはわしづかみではなく、ピースで持って投げること。ボールを投げる方向に、投げ手の逆足を踏み出すこと。そして、捕るときは、膝を使うこと。内藤氏は、「足を運んであげる。投げるときは思いやりだぞ」と話しかけ、本間氏は、「向こうからボールは来るので、捕るときは両手でボールを優しく迎えてあげること」と伝えました。
どうすればチームで上手くいくかを考える
ボールを投げ、捕る練習をした後は、キャッチボールクラシック(CBC)を実施。通常は、1チーム9名が5名と4名に別れ、7メートル離れた位置で2分間キャッチボールを行い、投球回数を競うのですが、今回は、人数もばらばらのため、ルールをゆるめに設定。さらに、グラブをはめての軟球や硬球でのキャッチボールではなく、当たってもケガをしないキャッチボール専用球『ゆうボール』を使って、素手でのキャッチボールを楽しみました。
みなみ野君田小学校の吉田忠司校長先生は、「ボールを投げるといえば、ドッチボールになっています。子どもが楽しんでキャッチボールをしている姿を見て、嬉しかったですし、あの柔らかいボールは安全ですから、これからも続けて欲しいですね」と話し、東浅川小学校の二田孝校長先生は、「今回はプロの方、その道を極めた方に教えてもらう体験ができたことがよかったです。普段授業で行なっている座学での勉強に加え、こうした体験型の学びを織り交ぜることで、子どもたちの心に残る学習ができると思っています。今回は野球ですが、一生懸命やれば一流になれるということを学んでくれれば嬉しいです」と語りました。
内藤氏は、「今回大事だと思ったのは、教育だということ。ボールの投げ方は簡潔にして、『次どうすれば上手くいくか考えてみようよ』と、話し合ってもらいました。キャッチボールは、相手のことを思いやるスポーツなので、上手下手に関わらず、どうしていけばチームで上手くいくかを考えられるといいですね」と話しました。
本間氏は、子ども向けスポーツスクールを運営するリーフラス株式会社で、指導員として小学生に接していますが、「今回の授業も、うまくきっかけにできるか、ですよね。スクールでもそうですが、親御さんが一緒にキャッチボールをできるか、が次に繋がります。ボールが柔らかいので、誰でもできますし、例えば運動会で父兄参加の競技にしても面白いですよね」と広がりを語った。
CBCの全国大会は、12/17(日)、八王子で市政100周年の記念行事のひとつとして行われることが決まっており、八王子市は小学校での取り組みを進めています。SSKは、CBCを推進するプロ野球選手会と一緒に、キャッチボールを通じた少年少女の育成に、これからも関わっていきます。
キャッチボールクラシックとは
9人1組でキャッチボールの正確さとスピードを争う日本プロ野球選手会考案の新ゲーム。5人と4人に分かれた2チームが7m離れ、2分間で何回キャッチボールができたかを競う。
【キャッチボールクラシック公式サイト】