モチベーションを自ら高め、
成長を続ける
スポーツ量販店や大手量販店を担当するNC販売部に所属する松本章子は、今年、女性では初めてとなる営業成績優秀者として表彰された。女性営業の先駆けとなった松本が、現在は入社2年目になる後輩の指導にもあたっている。「後輩の成長を思って、彼女に合わせた指導方法を考えて、毎週打ち合わせを重ねることで、自らに新しい成長も感じています」と語る。
Akiko Matsumoto 松本 章子
大阪本社勤務 / NC販売部西部販売一課所属
2007年4月入社 / 最終学歴:大卒、文学部 / インタビュー:2018年2月実施
女性が活躍する会社に
松本が入社した2007年当時、エスエスケイでは、女性は主にアシスタント業務に携わっており、事業部や管理本部での数人を除いては、出張に出ることも稀だった。もちろん、女性営業もいなかった。
「入社当初は、営業をサポートするフロントという内勤の仕事をしていました。がっつり仕事がしたいと思って入ったので、正直、仕事内容に違和感がありました。部署では所属長とのフィードバック面談が毎月あって、『女性が活躍できる場所が限られているのは分かるのですが、可能性があるのなら、外に出して欲しいです』とリクエストを続けました」と振り返る。
「ただ、内勤ができないから営業になりたいと思われるのは嫌だったので、目の前の仕事はきっちりとやるように心がけました。ちゃんとやった上で、営業に出たかった。分からないことがあると、しつこく質問して」と笑う。そんな松本にチャンスが訪れたのが、入社1年目の12月。上司と一緒に、スポーツ店での商談に出かけるようになった。
代理店営業の面白さ
エスエスケイの営業は、SSK野球やヒュンメルといった自社商品だけでなく、ナイキやアディダスなどメーカー商品の販売も行っている。
「私はメーカーに入りたいと思っていたので、ずっと代理店営業の面白さが分からないまま仕事をこなしていました。『中継ぎをするだけなら、私がしなくてもいいんじゃないか』とさえ思ったこともありました。それが、入社4年目に担当した地域総合スポーツ店がきっかけで、多くのメーカーのたくさんの商品を扱っているエスエスケイだからこそできる提案があるって気づいたんですよね」
「代理店があることで、メーカーの提案をアレンジしたり、ブランドを組み合わせたり、融通を利かせることができる。それが分かってからは、担当店舗や競合店舗の分析や提案もより明確になり、お店と一緒になって課題に取り組みました。『松本さんが担当でよかった』と言われたときには、この仕事をやっていてよかったと思いました」
自らモチベーションを高めていく
現在は、NC販売部で、大型スポーツチェーンと大手カタログ通販の2法人を担当している。「NC販売部に配属されてからは、自分自身のレベルアップが必要だと痛感しました。担当法人の規模が大きいこともあり、それまで以上に商品や業界の知識はもちろん、提案力や決断力が求められることが多くありました。勉強をしたり、周りの人から学んでいく中で、自分の仕事が会社やお客様にどんな形で貢献できているかということが分かるようになり、仕事が面白くなりました」
「暑苦しいという人もいると思うのですが」と前置きをしながら、「情熱がなければ仕事なんてしていても面白くないというのが持論」だと語る。大学まで水泳をしていた彼女は、「水泳って、全部自分次第なんですよ。個人競技なので、手を抜くのも、力を出し切るも自分で決められる。結局は自分との闘いで、いかにモチベーションを上げていけるかなんですよね。その経験からか、仕事を始めてからも、自分でモチベーションを高くキープできるように心掛けています。一生懸命するからこそ、上手くいくとすごく嬉しいし、失敗しても本気で悔しくて、そこから次に繋がるものもあると思うんです」と外的要因ではなく、内的に動機付けを行っている。
最近では、法人に合わせたオリジナル商品の提案も行い、ものづくりにも取り組んでいる。「担当法人にXLより大きいサイズを取り扱っている部署との取り組みがあります。取り扱いのあるメーカー商品では、サイズ感やロットの問題などがあり、実現できませんでした。社内外で2年近く交渉を続けた結果、この春からジェーンスタイルで別注企画をスタートすることになりました。サイズ感やシルエットを一緒に試行錯誤しながら作っていくのは新しい経験で楽しかったですし、自社ブランドを持ち、メーカー機能もある会社だからこそできた仕事だと思います」
ワーク・ライフ・バランスの推進
少子高齢化という社会的背景もあり、ワーク・ライフ・バランスが政府の指針としても発表されるようになり、エスエスケイでも働きやすい環境を目的に2005年度から、育児休業制度や女性の活躍、障がい者雇用をテーマに、ワーク・ライフ・バランスを推進しています。
女性の活躍については、営業としては松本が先駆けとなり、現在は全国の事業所に13名の女性営業がいる。「男女平等っていいますけど、私が入社した頃は女性営業がおらず、男性と同じ仕事のやり方をしなければいけないと思い込んでいました。でも、商品の積み下ろしなどの力仕事ひとつとっても、男性と同じようにはできません。男女に関わらず、社員それぞれで性格も得意なことも違うということが、仕事をしていくうちに分かってきました」
エスエスケイ70年余りの歴史の中で、女性が営業成績優秀表彰を受けたのは、松本が初めてとなる。「表彰は、周りに恵まれてきたからこそだと思うのですが、今まで仕事の中で上司や取引先から学んできた、自分よりも相手の意見や立場を尊重する考え方や、相手を好きになる、ということを積み重ねてきた結果だと思っています。以前は、『人の2倍かかるなら、2倍の時間をかけて、できるまでやれ』というやり方が普通にありましたし、私も時間をかけているところがあるのですが、業務改善が当たり前となる今、それだと成り立たない。組織で仕事をしているので、判断をして、指示をして、分担をして。そういう風にできるようになることが、これからの課題です」